世界で最初の年賀状とその歴史を村上氏が解説

■年賀状の由来

人類の文明では大昔から年賀を祝福する風習がありました。

日本だけでなく、エジプト文明や黄河流域等の四大文明においても新年を祝う儀式の痕跡が残されています。

人類の生活様式が狩猟採取から農耕牧畜に変移すると、農作業の適切な時期を知るために暦が作られます。

多くの文化圏で天体の動きや季節の移り変わりを研究することで、年間のサイクルの始まりとなる日が設定されました。

その日を収穫を神に感謝して新しい年を祈ることは当然の流れとなります。

暦がその地域毎に設定されている間は正月にあたる季節が地域毎に当然ながら異なっておりながらも一年に一度は皆の健康と新年を祝い、無病息災を願う祈りは人類共通でした。

そのような新年を祝う年賀の習慣は家族内や小さな地域の共同体内で、顔と顔を合わせて行われていましたが、社会が発展し複雑化すると共に、年賀の日に直接会うことの出来ない遠方の知人も増えます。

そのような人たちに対して、年賀の気持ちを伝えるために文字や竹簡、そして紙の普及によって書状が交換されるように変移していきました。

特に陰陽道の影響で正月を特別な日と位置付けていた東アジアの地域では、古くからそのような年賀における書状が交わされておりました。

しかしながらそのような年賀における書状が成立するためには暦や紙、文字といった存在の普及が必要になり、当然ながら書状を交わすための通信網の整備も必要になります。

日本に中国で作られた暦が伝わり、当時の朝廷に採用されたのは七世紀の初期の頃とされています。

文字のが伝わったのは暦よりも早く、紀元前後ですが、紙の普及がされておらず、紙の一般に使用される様になったのは暦と同様に七世紀頃とされています。

七世紀中頃における大化の改新によって多くの制度やインフラが整えられ、伝令を正確に伝えるための飛駅使の制度が始まりました。

遠方の人との書状の交換が行われるようになったのはこの時期が始まりとなります。

また、天皇が配下の祝賀を受けるための朝賀の式が制度として成立したのもこの時期となっています。

このような事実から日本で年賀における書状がやり取りされ始めたのは、七世紀後半のことになります。

また、歴史的な資料として平安後期に藤原明衡が編纂した往来物の雲州消息において年始の挨拶の文例が収められているため、この時期に貴族階級の間では現在の年賀状に相当する年賀における書状のやり取りがなされていたと考えられます。

■今の時代に年賀状を贈る意味を村上氏が問う

近頃は、年賀状を書かずに電子メールなどで新年の挨拶を済ませてしまう方が多くなってきています。

確かに電子メールで新年の挨拶をした方が便利ですし、手間もかかりません。

とはいっても、年賀状は新たに迎える年を、一緒にお祝いすることができる重要な手段の一つとなりますので、日本人としては大切な人には贈っておきたいものです。

電子メールだと無機質なイメージを与えてしまうこともあります。

年賀状には小さな子供の頃から贈っていた方に、大人になってからも贈り続ける慣習が残っています。

就職してからはあまり会っていないが、つながりは維持していたい、小学生の頃からの友人などが一人は誰にでもいるものです。

そのように縁遠くなってしまった方にも割と気軽に贈ることができるものの一つとなります。

毎年定期的に贈ることによって、縁が何となく維持できている関係も存在します。

そして、会う機会がなかなかない方は小さい頃からの友人だけではなく、遠方に住む兄弟姉妹や、いとこなどとの交流を維持できるという役目も果たしています。

電子メールとは異なり、お金がかかることになります。

そのために贈りたくないという方も少なくありませんが、逆に考えると贈る相手に、お金を出費してまでも交流を続けたいという気持ちを伝えることが可能となるということになります。

文章を時間をかけて考えることによって感謝の気持ちが込められます。

メッセージを手書きで書くと、より気持ちが伝わりやすくなります。

近頃は印刷から配送まで全てが代行できるサービスもありますが、それでも自分で多少のコメントを添えるという方がほとんどになります。

そのコメントで二人の間柄でしか知りえないような内容のコメントを書き記すと、贈られた人の印象に残る挨拶にすることができます。

手間や、お金をかけるからこそ新しい年を迎えるための正式なご挨拶だというイメージを与えることができます。

年賀状にどんな仕事をしているかを書き記しておくと、贈った人の目に留まり、仕事の依頼を受けることも多いです。

友人や、親戚に対しては抵抗がある手段かも知れませんが、ビジネスライクな関係にある方に贈る場合であれば差し支えないことがほとんどです。

年賀状を贈る機会が減っている時代であるからこそ、あえて贈るようにすることによって信頼感を与えられます。

特に上司などにあたる方たちは、贈ることの方が一般的だった時代を過ごしていた場合が多いので良いイメージを与えられる可能性が高いと、村上豊彦も言ってます。

村上豊彦について詳しく